マンションの断熱

我が家は無断熱のマンションです

 築年数が30年以上のマンションでフルリノベーションされるお客様には断熱を付加する断熱補強工事もご提案させて頂いております。主旨としては、今の新築マンションと同等の性能にリノベーションするという意味でご提案しているのですが、実は個人的には上下左右を囲まれている中住戸と言われる部屋の場合は断熱補強を行わなくても費用対効果という面でそこまで快適さや日々の光熱費に効果が薄いのでは、と考えております。

マンション断熱の歴史

 1980年に作られた我が家のマンションは無断熱なんですが、安普請のマンションという訳ではなく、当時はこれが標準的な仕様でした。実際に世間で断熱が注目され始めたのは第二次オイルショックのあった’79年からで、住宅金融公庫の仕様書で断熱が融資の条件になったのは’89年からになります。

 統計を取っている訳ではないのであくまでも個人的な感覚値ですが、首都圏では80年代〜90年代に建てられたマンションでは断熱材の厚みは10mm程度でヒートブリッジに対する折返し部分が無し、2000年代で15mm〜20mmで折返し有り、2010年代で「次世代省エネ基準」に準拠という傾向だと思います。

断熱補強の費用

 今、断熱材が10mmしかないマンションで次世代省エネ基準の厚み(東京だと35mm)まで増し吹きしようとした場合、断熱材の吹付作業だけで30〜40万円程度の金額が掛かると思います。それ以外には、外壁側の壁を壊してまた作り直す費用や、壁の厚みが増す為にサッシ周りの木枠(額縁)も交換しなくてはいけなくなりますし、熱環境面で一番弱いサッシ窓もインナーサッシを入れるなどして対策を講じなくては片手落ちとなってしまいますので、中住戸のマンションで断熱補強を行うとそれだけで100万円程度は費用を見ておかなくてはいけないと思います。

断熱材の厚みと結露の関係

 リノベの仕事をしていると、今お住いのマンションで北側の寝室や子供部屋のカビが酷いので何とかして欲しいとお客様から相談を受けることがあります。実際に壁を壊して断熱補強工事を行うこともあるのですが、断熱がしっかりとなされているマンションでもカビが酷い状態になっていることもあり、普段の暮らし方をお伺いすると、寒いので冬場は窓を一切開けないし吸気口も閉めたまま、という方が多いです。

 そこから考えると、当然、断熱材が十分に厚いマンションの方が結露によるカビのリスクは低いのですが、それよりも1日1回は必ず換気を行い部屋の空気を入れ替える等の生活習慣を改善する方が、結露による壁のカビには有効な対策になると考えております。

断熱材よりも窓ガラスが大事

 また、寒さ対策としてですが、無断熱で単板ガラスのアルミサッシの頃の我が家(マンション)時代でも厳寒期の朝の最低室温は14℃程度、ペアガラスに変えた今では17、8℃はあり、換気と調湿性能のある壁材に変えてあげることで壁の表面結露は無くなりました。実際に計算してみると、実は断熱材の厚みよりも窓の気密性能や断熱性能の方が家全体の断熱性能に寄与しております。

 実は、断熱補強と一口に言っても「断熱」と「気密」の二つの要素があり「家の中のどこが断熱+気密的に弱いのか」をしっかりと把握した上で、一番弱い(中古マンションの場合は「窓ガラス」になります)部分から交換ないしは補強(窓ガラスの場合はインナーサッシを入れてあげる)のが最も効果的だと考えております。