中古マンションのリセールバリュー
築10年の中古マンションリセールバリュー
先日、「株式会社東京カンテイ」という不動産コンサルティングサービスを行っている会社より「築10年の中古マンションリセールバリューについての調査・分析」レポートが発表されました。
首都圏に関しては平均119.8%と2割近い価格上昇が認められ、最も数値の高かった六本木一丁目周辺のマンションでは211.1%と新築で購入した時よりも2倍以上の値段で売却されているというデータも出ております。(興味のある方は東京カンテイのホームページからご覧ください)
細かな数字までは出ておりませんが、スムスビの周辺である都営三田線の高島平~本蓮沼でも100%を超える結果となっており23区内では「穴場」と評されてきたにも関わらず人気のエリアであることが伺え、胸をなでおろしました(笑)
中古マンションの価格は何で決まるのか
新築の分譲マンションと違い、中古マンションというのは個人間売買となることが多く、逆に大きな金額になる取引で事故が起きない様にするために、専門の資格(宅地建物取引士)を持った者がいる不動産屋(宅建業者)が間に入って取引を行うという「不動産仲介(媒介)」という仕事が存在しております。
売り出し価格が決まっている新築マンションと違って、基本的には個人間売買なので「この値段で売りたい」という売主さんと「この値段なら買う」という買主さんとの双方の合意が取れたところで売買契約となるのですが、特に首都圏のような巨大な不動産市場になると投資目的の資本が大きな割合を占めることもあり、結果、不動産市場の相場に中古マンションの価格も引っ張られる形となります。
よくポストに入っている「あなたのマンション、無料で査定いたします!」という不動産チラシは不動産仲介を生業にしている不動産業者が売主側の物件情報を得るために行っている営業チラシで、実際に査定をお願いすると、過去の周辺の中古マンションの取引事例をレインズという全国共通のデータベースなどを参考にしながら「あなたの家の今の相場価格は〇〇〇〇万円」といった形で算出して貰える仕組みとなっております。(ちなみに、不動産仲介業者は「売主側の情報をどれだけ持っているか」がその会社の業績に直結すると言われております)
なぜ中古マンションの価格が値上がりするのか
本来ならば値段が下がるはずの「10年間ものあいだ使用された中古のマンション」の値段が上がっているのでしょうか?
実はこの現象はいつでも起こっているという訳ではなく「たまたま今はそういった時期」ということなのですが、その要因になっているのは10年以上前の世界の経済状況が大きく関係しております。具体的には2008年に起こった「リーマンショック」と2011年の「東日本大震災」が当時の不動産市場に大きく影響を及ぼしており、そのころの不動産価格は今から見るとほぼ「底値」と言える状況でした。
その後、日本では2012年末から始まる「アベノミクス」と呼ばれる異次元金融緩和政策をきっかけにコロナ禍が始まる2020年まで、株式市場に遅れる形で不動産市場も右肩上がりの上昇相場に入ります。結果、本来では減価するはずの中古マンションも不動産市場全体の相場に引っ張られる形で築年数毎に価格が落ちるスピードよりも市場価格の上昇スピードが上回った10年間となりました。
アベノミクス前までは「中古マンションの価格は20年で約3分の2になる」と言われておりましたので、本来であれば10年で約6分の5(▲16%)位の価格になるのが普通でした。このことを鑑みると、冒頭申し上げた通りここ10年の首都圏平均のリセールバリューが20%増なので、▲16%分を足すと、ここ10年間の不動産価格の上昇は36%程度の上昇幅であったことが伺えます。
新築・中古に限らず、「自分と家族が暮らす家」という物は決して投資家と同じ目線で購入や売却のタイミングを計る物ではないと考えておりますが、時期によっては何百万円もの差が生じてしまうこともありますので、これから購入や売却をお考えの方は是非参考にしてみてください。