コロナ禍とウクライナ侵攻と日本の林業

コロナ禍もウクライナ侵攻も影響を受けています

 一見、日本国内のリフォーム業界とは遠く離れた世界の動きが、現代では他の産業と同様に大きな影響を受けております。

 2019年末に始まった今回の新型コロナウィルスの世界的流行における国内の住宅産業への影響としては、まず2020年の3月に中国の武漢周辺の工場がストップしてしまった影響でトイレやユニットバスなどの住宅設備機器や木製建具などの建材が軒並み欠品となり2ヶ月以上、物が入ってこない状況となってしまいました。

 次に、新型コロナワクチンが開発され世界的に普及しはじめた2021年3月頃から北米を中心に住宅需要が急増し需要に対して木材の供給が間に合わず、7月頃からその流れが世界的に顕著となり「ウッドショック」と呼ばれるようになりました。ホームセンターに並んでいるSPF材というDIY向きの安価な木材がそれまで1本198円とかで販売されていたものが、夏ごろに298円とかお店によっては300円台で売られていたのを今でも覚えております。

 ホームセンターの店頭価格が戻らないまでも木材の先物市場が8月には元の値段に落ち着き、ホッとしたのも束の間、今度は世界的な半導体不足により住宅設備機器(中でも給湯器やガスコンロ、ウォッシュレットの便座)が製造できなくなってしまうという事態に陥りました。また、同時期に新型コロナの防疫の影響で中国のコンテナ船の輸送量が落ちてしまい、コンテナ船の運賃が高騰してしまうというダブルのダメージを受けてしましました。

 そして、それらに追い打ちをかける様に今回のロシアのウクライナ侵攻により、間接的にはエネルギー価格の高騰と直接的にはロシアからの木材輸入がストップしてしまったことによる更なる木材価格の高騰の影響を受けております。

風が吹けば桶屋が儲かる

 上のことわざほどではないのですが、まさかコロナ禍で「トイレの便座が手に入らない」とか、アメリカの住宅需要が急増して「近所のホームセンターで合板が欠品する」などコロナ禍が始まった当初は思いも寄りませんでした。

 2011年にタイで洪水が起こった際に日本の自動車工場が浸水し操業が出来なくなったため、一時期自動車の納車が大幅に遅れたということが起こりましたが(その時に初めてサプライチェーンという言葉を自分は耳にした記憶があります)、今回のコロナ禍~ロシアのウクライナ侵攻での影響を身をもって受けると、いかに現代の住宅産業のサプライチェーンが複雑かつ脆弱だと、思わざる得ません。

 特に、工場で生産する住宅設備機器類は、生産拠点となる工場がある場所の災害や事故、戦災の影響を受けるのは想像に難くないのですが、これだけ森林資源に囲まれている日本ですら、グローバルの木材市場のサプライチェーンの影響をもろに受ける所まで来てしまっている事を、今回のウッドショックとウクライナ侵攻で強く感じました。

せめて自分で使う木は地産地消で

 実は、SDGsや温室効果ガスの削減目標が定められた京都議定書(1997年)より以前の1980年代後半からコアな住宅建築の世界では地産地消の観点から「地場の木を使って家を造る」という取り組みが行われて来ました。(有名なところでは「東京の木で家を造る会」という団体があります)

 残念ながら、北米産や中国産、ロシア産の木材との価格競争に敗れ、その取り組みは一般的に広まる所までにはなっておりませんが、じつは今回の「ウッドショック」(からの更なる価格高騰)が国内の林業にとっては追い風となっており、今まで価格で負けていた北米産の木材(主に米マツなどの針葉樹材)が今では国産材(赤松などの下地材)と変わらない価格となって来ております。

 1980年代から北米産をはじめとする外国産材に日本の林業は押され続け、資本も人も投資が出来ない状況が40年近く続いておりますので、全国的な木材不足の状況を国産材に切り替えることで直ちに解消することは難しいのですが、今回の「ウッドショック」で抜本的な林業政策の見直しがあるのでは、と密かに期待しております。

 なかなか、ホームセンターでは国産材の、しかも良質な材料を手に入れるのは依然として難しい状況ではありますが、お近くの材木屋さんにご相談してもらえれば、少量でも売ってもらえると思いますので、もしDIYを趣味で行っている方は地場の材木屋さんに相談してみては如何でしょうか?